ご飯

暑さ寒さも彼岸まで

と、言うけれど

今年の夏の暑さは

今までの暑さと違った。

外に出られなかったもの。

 

熱波。

 

そのせいか、母の食欲が落ちて

なかなかこちらの思うように食べてもらえない。

 

 

焼きそばを作って、

よし、食べてくれたと思っても

次の日同じものを出すわけにはいかない。

 

 

なるだけバランス良く

少しでも食欲がわくように

そう思いながら

願いながら

台所に立つ。

 

冷や汗が出て

きついなーって思う時も多いけれど

 

母のためにと思うことで

不思議と力が沸く。

 

一時は包丁も持てなくて

取り落としていたりもしたのだから

それを思えば

ずいぶん…そう思って

自分を奮い立たせる。

 

「なんの役にもたてなくてごめんね~。」

 

料理を並べると決まって

母が言う。

 

「そんなこと言わないで。

おかあさんがこうして

元気でいてくれるから

私もこうやって

ダラダラしていられるんじゃない。」

 

「…あ、これ美味しいね」

 

「あ、そう?」

 

なんでもない

ちりめん山椒のおむすびが

気に入ったようで

良くたべてくれた。

 

 

穏やかなこの瞬間が

つづきますように

 

つづきますように。