現金な奴

大腸癌の診察に行ってきた。

 

この間CTをとったので、その結果を聞きに行く。

3本たっぷり。

いつものように抜かれた血液検査の結果も。

 

「心配しなくても、大丈夫よーう。」

 

うん。

私もそう、思う。

思いたい。

 

ステージ3のB。

 

腰が痛いと

転移したんじゃないか。

 

便通がないと

再発したんじゃないか。

 

小心者。

 

痛いのが嫌だ。

母を一人にできない。

 

毎回毎回

同じようにビビリながら

診察日を迎える。

 

だけど、私は何が怖いんだろう。

 

痛いのも

苦しいのも

もちろん嫌だ。

 

けれど、本当の本当は、何が怖いのだろう。

 

順番を待つ。

 

「tonchikiさーん。」

 

「あ、はい。」

 

離島ドクターは、相変わらず淡々とした感じ。

 

「…CTの結果、良かったです。

今のところ転移はしていない。」

 

「あ、よかった。」

 

「血液検査の結果もね、

うん、数値大丈夫。」

 

「あ、ほんとですか。

…良かった…。」

 

肩の力が抜けるのがわかる。

 

「お腹をみてみましょう。」

 

「…うん。柔らかいね。よし。」

 

「今度…そうだな5月くらいに、カメラを入れましょうか。」

 

「あ、はい。」

 

5月になったら

また私はビビるのだ。

 

本当に

一体何が私をこんなにビビらせているんだろう。

 

そしてビビリながら

妙なところで図太く

開き直ってもいる自分もいる。

だって、仕方ないもの。

何をどうやったって。

 

なるようにしかならない。

 

なのに。

 

知らないから。

知らないから、怖いんだ、きっと。

 

…とにかく、今日は良い日。

良い結果を持って帰ることができる。

 

 

着こんでクマのようになっている自分の姿をあらためて笑いながら、

頑張ってバスに乗って帰宅。

 

現金な奴。

 

バスに乗って帰れたじゃん。

 

頑張った私。

 

メメントモリ

メメント、モリ。