集積所

コロナだけじゃなく、ありとあらゆる発熱を伴う感染症が、子供達を襲っていて、発熱外来の小児科のドクター達はみな、獅子奮迅の日々を送っておられるようだ。

 

中の1人が

「何故、マスクを外してしまったんだ!」と、悲鳴のように書いておられた。

 

また、別のドクターは

「子供達の笑顔を見るために、マスクを外せと言い募っていた人たちは、こういう状況になると、だんまりだ。

 

彼らは静かな凪の時にだけ言い募り、嵐になると黙る。

 

結局、辛い思いをする人間は誰なのか。

 

辛い人間を助けるのは、誰なのか」

 

 

朝、4時頃にゴミを出しに行く。

 

すると、ゴミ集積所は、我が家のゴミを置けない程にゴミで一杯だった。

 

ゴミを夜のうちに出すことは禁じられている。

 

だけど、これはみんな夜のうちに出してしまったんだな?

 

朝はゆっくりしたいもんね。

 

昔、1人暮らしの奥さんがいらした。

 

マメで、おしゃべりが好きで。

 

明るい人だった。

 

ある日、部屋で転んで、それからヘルパーさんが来るようになった。

 

「こんにちは~!」

 

ヘルパーさんに

洗濯と料理とゴミ出しをお願いしているって、奥さんは言った。

 

ヘルパーさんは、お昼に来ることがほとんどだったから、

用事を済ませると、ゴミをまとめて集積所の隅に遠慮がちにおいて帰っていかれる。

 

この事に噛みついた人がいた。

 

曰く、美観を損なう。

何より決まりを守ってもらわないと。

 

私たちの集積所は、コンテナ式で、鍵を閉めておけば、カラスなどの鳥害も心配ない。

 

美観を損ねるというほどではないと私は思った。

 

けれど、原理原則を主張する人たちは、言い募った。

 

もし、それをやめさせようとすれば、ヘルパーさんを「ゴミ出し正しい時間」だけのためだけにお願いしなければならない。

 

奥さんは、1人暮らしを諦めた。

 

 

一杯のゴミを見ながら

このゴミがもし、夜のうちに出されていたとしたら…と、私は思う。

 

その中に、あの時言い募った人達は含まれているのだろうか。

 

どうなんだろう。