雛の顔

楽になったとはいえ、痛みが全く消えたってわけじゃない。

 

身体が強張るのは、痛みが来るのを予測して、身体が構えてしまうからだと思う。

 

リラックス、リラックスと

伸びをしてみる。

 

こわごわ、こわごわ。

 

こんなときは台所に立っている方が、手を動かしている方が、気が紛れる。

 

そう思って立つけど、30分もすれば冷や汗。

 

神経質になりすぎているんだって、自分を叱ってみるけれど、

身動き出来なかった、寝返りさえ打てなかったあの時を、あの痛みを思うと。

 

怖い。

 

シンプルに、怖い。

 

ああ、そうこうしているうちに、2月も終わる。

 

明日3月1日は、乳癌の術後検診のため、日赤に行かなければならない。

 

大丈夫。

きっと、大丈夫って思いながらも、途中でもし…万が一あんなことになったらと、心細い気持ち。

 

「ついていこうか。」

 

母が言う。

 

「だーいじょうぶよ、大層な。」

 

言いながら、どこかで

「うん、お願いできる?」

って言ってしまいそうな自分がいる。

 

高齢の母を、そんな風には使えない。

 

夜、映画ELVISを観ている間に、電話が入っていて、ちっとも気づかない私に、メール。

 

「明日ですよね?

仕事がお休みになったので、送ります。」

 

いやいやいやいや

ぐらっと来たけれど、予約時間は朝も随分早いのだ。

 

「構いません。」

 

いつもいつも

助けてもらう。

 

明日朝8時半。

彼女が迎えに来てくれる。

 

「…甘えん坊になって待っています。」

 

「www甘えん坊で待っててください。」

 

メールの文字を見ながら

ああ、これで大丈夫だって思ったのに、

やっぱり術後検診の前の夜は眠れない。

 

私のお雛様は

なんだか笑っているような

早く眠れと怒っているような。