潤っちゃいけません

苦しいとか痛いとかいう話題ばかりだと、自分自身が辟易する。

 

なんかちょっと違う話はないもんかなあと思って、思い出したことを今日は。

 

 

大腸癌の手術前、緊張している私に色々説明があった。

 

アートメイクしてると、火傷みたいになるから駄目だとか、刺青も駄目ですよ。あれは大変だとか。

 

マツエクも駄目だとか言っていたけど、駄目だって言われてそこで外せるもんでもないだろうし。

 

女子力高いとかえって大変?

 

そのどちらも私には関係なかったから、へーそうなんですか、ほーほーほーって聞いていただけだったんだけれども。

 

「当日、洗顔後、化粧水をつけますよね?」

 

「はあ、まあ…。」

 

「当日はつけないでください。まあ、うっかりつけてしまったとしても、「極潤」はやめてくださいね。」

 

「????」

 

不審げな顔をした私に、看護婦さんは言った。

 

「当日、手術のために挿管を行って、管を固定するために、テープを貼るんですけど、極潤だと、ツルツル滑っちゃって、テープがうまく貼れないんです。」

 

あーそうなんですねと言いながら、私の脳裏にバカになったテープを手に、

 

「だから言ったのに!」

 

「極潤は駄目って言ったんですけどねえ。」

 

って、苦虫を噛み潰したような顔をした看護婦さんの姿が浮かぶ。

 

「…わかりました。

当日は化粧水、つけません。

…だけど、極潤ってそんなに?」

 

「そうなんですよー。」

 

看護婦さんは、何度も頷きながら、言うのだった。

 

そっか。

手術前は化粧水なし。

だけど、銘柄指定されるとは思わなかったなー。

 

逆に言えば、極潤、それだけウルウルになるってことかしら?

 

普段、ろくろく化粧水もつけない私。

 

そういや病院の中、ちょっと乾燥してる気がするもんね。

化粧水くらいつけておいた方がいいかもしれない。って、いまさらな私。化粧水つけとらんかったんかい!

←そういうところだぞ!

 

手術前、少し気持ちを落ち着けるためにも、買い物。いいかもしれない。よし!いざ売店へ!

 

私が入院していた病院の売店は小さな店だった。

 

えっと、化粧水、化粧水…。

 

その店に、化粧水は1種類しか置いていなかった。

 

小さな店だから仕方ないね。

 

棚に並んでいた

極潤のフルボトル。

 

病院って

不思議。

 

不思議な場所よね。