孵化

「tonchikiさん!!!!…私…わかりますか?」

 

急に病室をノックされて、入ってきた看護師さん。

 

「え?……あ!!!!」

 

そこにいたのは、大腸癌手術の時、研修のために私についていた看護婦さんの卵だった2人組のうちの一人。

 

「その制服を着ているってことは…」

 

「はい。お陰さまで、無事に合格しました。」

 

あらー。

良かったねえ。

と言いながら、ほんとに時間が過ぎるのって早いなあと心から思う。

 

研修のためにつかせてよろしいでしょうかと、

婦長さんに聞かれて、OK出して。

 

少しでも私が役にたつのならって思ってOK出したけれど、手術後は本当にハードな日々だったから、相手をするの、勘弁してと思ったことも正直あった。

 

それでも、一生懸命に取り組む2人にいつしかすっかり応援したい気持ちになってた。

 

そっかそっか。

立派な看護師さんになったねえ。

 

「頑張ってね。」

 

「はい!」

 

すっかり一人前の顔をして、彼女は立っている。

 

私はなんだか晴れがましい気持ちになっている。