予想はしていたけれど、正月休み明けの病院はダダ混み。
10時に入って血を抜いて、診察は10時半予定だったはずが、実際に名前を呼ばれたのは、12時過ぎ。
送り迎えをかってでてくれたガールフレンドが、待ち時間の間も付き合ってくれたので随分助かったのだった。
診察室に入って離島ドクターに新年の挨拶をすると、何故か少し嬉しそうだった。
「味覚異常が収まらないです」と訴えると、
「うーん。数値的に亜鉛不足ってことはなってないから、抗がん剤の副作用としか言えない。
亜鉛不足を解消する薬出しても不足はしてないから、効果ないだろうし…様子を見るしかないなあ。」
という回答。
仕方ないね。
「食欲はあるんやね?」
「押し込んでます。」
「御正月は満喫した?」
「あ、はい」
「tonchikiさんは、あと5kg落とさなくちゃいけないんだけど…美味しいもの食べた?」
ギクッ
「あー御正月ですし、お餅を…
お雑煮とか」
「何個くらい?」
「えっと、3個…くらい…かな。」
「それは、毎日?」
「いや…毎日では…ないかな」
モゴモゴ言ってたらドクターに笑われた。
数値的にOKだったので2階の処置室に向かう。
ガールフレンドは入室出来ないし、時間もかかるので一旦帰ってもらう。
「終わったら連絡ください。
すぐに来ますから。」
彼女にとっては正月休みの最後の日。
ほんと、申し訳ない。
私だったら、絶対出来ない。
病院なんてマイナスエネルギーバンバンで、行って楽しい場所じゃないし、病人の相手もめんどくさい部分多々だし。
処置室にはいると看護婦さんが
「ご家族ですか?」
「いや、友達です。
年離れているけど、友達。
元同僚なんですけど、娘ちゃんみたいですよね。
送り迎えをかってでてくれたんです。」
そう言うと
「えーすごいですねえ。
優しい。
なかなかそんなことをしてくれる人っていませんよ。」
「でしょう~?
私、そういう運だけは強いんですよー。」
そう言ったら、ここでも笑われてしまったのだった。
「普通はこういう時、「人徳ですねえ」って、お返ししたりするんですけど…」
「人徳では、ないです。
「運」です。」
看護婦さんの肩がずっと震えてた。