話は前後する。
下の写真は、離島先生が手術前、 説明しながら 書いてくれた ものだ。
ずらずらずらと、リスク が 書かれ、並べられている。
手術自体が うまくいっても、 感染症で 大変なことにとか、 手術の途中で 麻酔による アクシデントとか 。
聞いているうちに 、シンプルに 怖くなる。
私は 、こういう時、 すぐに 違うことを考えようとする 。
無意識のうちに。
こんな怖い話じゃなくて 、もっと 軽く、 素敵なこと。
でも 説明を受けている時 、軽く素敵なことは なかなか浮かばなくて 。
しょうがないから
「離島先生は、 本当に 南の 離島に いそうな感じだよね。 島民から愛されて 、頼りにされて。」
そんなことばかり考えていた。
考えてみれば 、今まで一度も会ったことはなかった、 離島先生 。
大袈裟に聞こえるかも知れないけれど、その人に 私はいま、自分の運命と 命を預けるのだなあ。
世の中は 、縁と不思議とでできている。
私の病名は S 字結腸癌。
腹腔鏡手術で 、 癌を切り取る。
その際 お腹に、 五つの穴を開ける。
とった 癌は 、おへその ところ を 開いて 、そこから出すのだそうだ。
癌というエイリアンが 、おへそから にょろんと 出てくる イメージ。
えぐいなぁ 。
嫌やなあ。
嫌な話を聞いていて 、嫌であればあるほど 、何故こうも 自分の話ではないような気がしてしまうんだろう。
「何かここまでの話で ご質問ありますか。 」
弟と 弟嫁 そして 何より私に 、離島先生は 尋ねた。
言えなかったけど、本当に聞きたかったこと は ひとつだけだった。
先生 私、助かりますか。