心なしか 少し緊張した 時間が流れた。
外科と 乳腺外科と は 診るものが、視点が、違う。
それは分かっていることだけれど 、なんだろう、この 緊張した空気。
離島先生が、
「tonchikiさん、今日の具合はどうですか。」 と聞いてきた。
「はいおかげさまで。」
乳腺ご陽気ドクターが言う。
「あ、先生おはようございます。
今 tonchikiさんの 話を聞いていて。
今後の治療方針について、乳腺の方からの視点でってことで 質問を受けていたんですけど。
乳腺外科としては、 ポートを入れるんだったら、 ちょっと 乳癌のチェックがしにくくなるかなということを ご説明してて。」
「あーそうでしたか。」 と、離島先生が言う。
「そうなんですよ。
もちろん 大腸がんの方が 治療の主なわけですから 、そちらの 治療がしやすいように ということが一番なんですけれども。」
「あーなるほどね 。そうか、 そうですね。ポート入れると、マンモも…」 と、離島先生。
「まあ私の勝手な言い分なんですけれども、 やっぱり検査の事を考えると …。
もちろん こちらもポートを入れた患者さんにも対応はしているし 、いろいろ やり方も探ってはいるんですけどけれど。 」
「そうか。じゃあ ポート無しの方が そういう意味では良いかもしれませんね。」
「あ、もちろんもちろん 、繰り返しますけれども、 大腸の方を主流に 考えて頂きたいんですけど 。
乳腺の方としては、 わがままを言わせてもらえれば そういうことなんです。 」
乳腺ご陽気ドクターが 、とても 気を遣いながら 話してくれているのが 分かった 。
「そうか。そういうことなら ポート無しにしましょうか。」
「はい 。」と、頷く私 。
こうして 思わぬ 形で 私の 今後の 抗癌治療の 方法が選択された。
「ありがとうございました。」
離島先生と 乳腺ご陽気ドクターに、お礼を言いながら 、それでもやっぱり 私は もう一つの方法を選んだ方が良かったんじゃないかと あれこれ迷い、思うだろうと 思った。
でもいい。 もう決めたんだ。
決めたんだから。