電話

友達と電話をした。

 

もう何年ぶりかな。

ラインやメールでやりとりはしていたけれど、電話で話すのは本当に久しぶり。

 

彼女は難病を患われている旦那様との生活の中、明るく、前向きで、なおかつ私まで励ましてくれる人。

 

大体患者本人がしんどいのは当然のことだけれど、病人を抱える家族もまた、かなり疲弊するものだ。

 

それは時として、患者本人よりきついことがある。

 

少しでも楽にという一種の使命感に似たような気持ち。

 

だけど、実態はそうそう、自分が思うようには動いてくれないものだから。

 

それでも彼女はそういう日々の中で感じたこと、思ったことを通じて励ましてくれるのだった。

 

「大腸癌の手術後、治療法を選択してくださいって言われたけれど、あれはきつかったわー。そういう知識があるわけじゃないしさ、気力を奮い立たせて、ネットで調べようとしたら、余命5年とか出てくるしさー。

やっぱり、治療するってことは、少しでも良くなるといいなあって思って挑む訳じゃん?

そこにバーンと余命のどうのこうのっていうのはさー。」

 

「判る、判る。だけど、ああいうの、あんなネガテイブな情報は取り入れちゃダメだよ。あんなのあてにならないんだからさ。

 

「そうは思うんだけどさー。」

 

「まあねえ。そもそも選択してくださいっていわれたのがねえ。私はこっちがいいと思うんですけれど、どうでしょう?とか聞かれたらいいのに。」

 

「そうなの、そうなの!!!私もさー、先生だったらどっちをって聞いたりしたんだけど。

結局、抗癌剤っていうのは、悪い細胞をやっつけるけど、いい細胞をもやっつけるものですから…ってことで。」

 

「あーねえ。…結局、責任とれないって話しだよね。」

 

「そうそう。でもそこら辺は、お任せしている以上、私は文句いうつもりないけどなあ。結局、ドクターとの巡り合わせも運って部分があるもんね。」

 

「でも、言う人間が多いってことなんだと思うよ。」

 

「あーーーねえ。」

 

「とにかく、これで治るーって思って治療を受けることが大事みたいよ。

効果がさ。

だから、乳癌の後の放射線治療の時も、これですっかり

治るーって思いながら、受ける!!」

 

「ハイ」

 

すっかり生徒になっていたw