決壊

弟が 車で迎えに来てくれて 、3時に 退院。

 

ついていた 看護学生が、 お見送りに来てくれた。

「tonchikiさん 、

ありがとうございました。 どうかほんとうにお大事になさって下さい。」

 

「ありがとう。 あなた達が 立派な 、そして想いのある 看護師さんになることを 祈ってますね。」

 

そんなことを話ながら、前日 眠れていなかったせいか、 息が上がる。

まずいまずい。

 

しっかりしなくちゃ。

 

ハワイ部屋の 入院費用を払うと 、次の来院日 の予約表と たくさんの薬を渡される。

 

「これから 長くなります。 とにかく 考えすぎないように。 ひとつひとつ。 ひとつひとつ。」

担当看護師さんの 言葉が重かった。

 

一生懸命 歩いて 弟の車まで 行く。

息が上がる。

冷や汗が出る。

 

「しんどそうやな。大丈夫か ?」

 

「大丈夫。」

 

薬を飲んで、 息を整える。

 

ふーっふー っ。

 

車が走り出して 外の景色が 見慣れたものになって。

 

帰ってきた。 帰ってきたんだ。

 

亡くなった父は どんな思いでこの景色を 見てたんだろう。

 

私は 携帯を 手に入れたけれど、 入院中 、1度も皇太后に電話をしなかった。

 

それは しなくていいという 皇太后の言葉があったためでもあったけれど 、私自身 、声を聞くと 崩れ落ちそうだったから。

 

家に着いた。

 

玄関前の 階段を上る 。ドアを開ける。

ただいま。 おかえり 。大変だったね。

 

太后 が、そう言って 出てきて、 顔を見た瞬間 、涙腺決壊 。

 

全く 。

いい年をして

泣き虫さんかよ。