ゴルゴダ手術室


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眠れないけれど、看護師さんに携帯をとってもらったので、更新することにする。

 

そもそも手術前、 手術室へ行く時は ストレッチャーに乗せられて 見守る家族 に弱々しく 手を振りながら 入っていく
そういうもの…だと 思うじゃない?

けれど 、ところがどっこい。

 

この病院の手術室は 、外科病棟と同じ階にあり、「歩いて行きましょうね 。」と 看護師さんは 明るく言うのだった。

歩いて ??はてな そうか 歩いて行くのか 。歩いてね~。ゴルゴダ手術室。

 

病室で 手術着に着替える。

そして 着圧ソックス を履く。

 

貴重品は 家族に あずけてくれ と言われたので、 お守りと 私のベッドの 貴重品入れの 鍵を バッグに入れて 家族に渡した。

 

そのお守りは 、ひとつは 自分で ずっと毎年皇太后と一緒に お参りしてきた ところのもの。

そしてもう一つは 、弟嫁のお母さんが 私のためにと 取り寄せてくれた おできに よくきくという お守り。

まあ癌も おできといえば おできだ。御自分だって身体の調子がいいとは、決して言えないお母さんが、わざわざ取り寄せて…と思うとありがたくて涙が出そうになる。

 

今回手術前、 いろんな人の エールを受けた。こういうのって 申し訳ないと言うか 何と言うか。

今まで とにかく そういうとき、ちょっと屈折した 受け取りかたをしがちな 私だったけれど、 思わぬところで 思わぬ人に 熱いエールをもらうと 、それはやっぱり ありがたく嬉しいものなのだった。力になった。

 

だって、私ってばええ格好しい。エールをもらうと、俄然力がでるんだ。

 

病は気からって言うじゃない?

エールは気力を高めてくれる気がした。

ありがたく受け取っておこう。この気のおかげで頑張れるのは、本当のこと。

 

別にスピリチュアルに、どっぷり…そんなことじゃない。

そもそも普段はてんで…な私が、スピリチュアルなんて言い出したら、神様もあきれてしまうに違いない。

 

それでも やっぱり 人間の 「思い 」というものの強さは 、確実に 存在する と も思う私なのだった。

 

話は飛ぶけれど、 今 結婚を 選ばない 女性達、 若い女性たち がどんどん増えてきているという。

 別に結婚しようが 非婚であろうが 、私風情が言うまでもなく、それはその人の自由だ。

そもそも私自身非婚者だ。

 

大事なの は、 自分がどうしようもなくなった時 、助けてくれる、甘えさせてくれる そんな人が いるかどうか。

自分の味方…そういう人、それは人生を助けてくれるだけでなく、変えてもくれるよね。

 

家庭を持っていても、 相手が 向き合ってくれなければ、 それは不幸なことだ。

また 私の恋人は大丈夫 と思っていても、 それは あなたが可愛く 元気だから 、かもしれない。

 

結婚しようと 非婚であろうと 、それはその人の自由ではあるけれど 、どうしようもない時に 孤独を 自分だけで 引き受けられるほど 自分が強いかどうか 、それは 可愛く元気な時 から考えて おいた方がいいかもしれない。…等と余計な事を私は考えている。

 

人は一人で生まれ、1人で死んでいく。

その人生が、価値観が、過不足なかったとか正しくないとかは、最後の本当に最後にならなくちゃ答えは出ない。

 

親が 結婚を勧めるのは 何のかんの言いながら 、まだまだ日本は 男社会であるし、 その形が 無難であると 信じられる、その世代のモデルケースであるからだろう。

 

もし いや、そうでないというのならば 、誰しも年をとる ということや、 どうしようもない ときもやってくるのだということを 覚悟していなければならない。そう思う。

 

味方は同性でも異性でも、どちらでもいいよね。

1人でも多人数でも。

 

我が子の超絶ハッピーを見たい…そう願う親に、モデルケースではないハッピーを証明するのには、長い長い時間がかかる。

 

どちらにせよ、自分の選択は、必ず何処かで試される。

 

私はラッキーだった。

非婚の私は、随分、親をがっかりも、失望させたりもしてきたけれど、こんなにもあたたかく無償の愛情で支えてくれる人達がいてくれる。

 

そう言うと、皇太后が、「本当にそうね。tonchikiは、そういう運だけは強いのかも。」と、笑った。

 

アンラッキーノナカノラッキー。

 

「さあ行きましょうか 」

いよいよ手術本番。 こんな私でも やっぱりドキドキしながら 歩いて行くと 、乳腺ご陽気ドクターが 私をみつけて 声をかけてきた。

 

「あらtonchikiさん 、今からなの ?頑張ってね。 私も待ってるから。 次は私が 切る番だからね。」

 

いやいや先生、 ご陽気だと思っていたけど 、そ、そ、そんなマッドな エールってある ??。

 

「それでは ここで。」

銀色の 扉の前 で 、弟たちに 挨拶を、私は中に入った 。 ドクター X の世界だ。

 

「このベッドに 横になってください。 全身麻酔ですので 目が覚めた時には 終わっています。 そこからは tonchikiさんが頑張る番ですよ。」 そう言って 執刀ドクター は にっこり笑った。

 

 

まさかさ 、本当に こんなにスパルタだなんて 思いもしなかったよね。 この時には。