日赤の日

今日は雨だった。

 

本降りの雨の中、日赤に向かう。

 

バスを待つ間、ベンチが濡れているので、立っていることが辛いなあと思いながら、この程度のことで…と思う。

 

放射線治療の予後を診てもらうための

今日は診察日。

 

胸を広げる前に

「薬をかえたんだね?」とドクター。

 

「はい。

あんまり動けないのと、唇が腫れたりして。

先生に色々申し上げたら、薬を変えてみようっていわれまして。」

 

「そうですか…右と左と汗のかきかたが違うとか、熱を持っているとかそういうことはありませんか?」

 

「…いまのところ、特には…」

 

「…そうか。…二年半過ぎたんやねえ。」

 

「はい。」

 

「…それじゃあ、大腸と乳癌の先生に診てもらって…こっちの放射線にかんしては、今日でおしまいということでいいかな。」

 

「え、あ、はい!」

 

嬉しいと感じる前に

ドクターが

 

「ここでの治療記録は残してありますから、何かあったときには問い合わせてください。」

 

「…はい。」

 

「そういう方は何人もいらっしゃるから必要な時には、ね。

そのことを頭の隅に覚えておいてください。」

 

ああそうか。

再発の時には必要な資料。

 

「わかりました」

と言いながら、再発の恐怖と戦っていかなくちゃなんだ。

これから。

そして再発はけっこう「ある」ことなのだと、ドクターの顔を見て思う。

 

嬉しい日のはずなのに

ぬるりとした手で気持ちを捕まれた気がした。

 

怖い。

 

 

帰り道郵便局に立ち寄った。

 

お盆にお寺さんに提灯をあげて戴くためのお金を送金する。

 

お父さんは、幸せだっただろうか。

私を可愛がってくれたおばちゃんは幸せだったのだろうか。

 

人の気持ちは計り知れない。

 

柩の蓋が閉まるまで、何が幸せなのか

わからないのが人の生きる道。

 

 

2024712