ずっと癌患者の面倒を診てきた癌専門ドクターが、大腸癌になったそうだ。

 

抗癌剤治療をやって、それまで散々患者さんに聞いていた抗癌剤のしんどさだったけれど、自分の身に起こって、初めてその辛さを理解したと書かれていた。

 

経験豊富なドクターでさえ、他人の病は3年でも我慢できるというあれを、実感したりするのかと、なんとなく可笑しかった。

 

なので、ついつい読み進めてしまった。

 

残念ながら、

ドクターは再発してステージ4となった。

 

再発を確定したときは、頭が真っ白になって、手が震えたそうだ。

 

それはそうだろう。

考えるだけで怖い。

理屈抜きに怖い。

 

彼は癌専門ドクターである。

ということは、その後の流れも読める。

 

で、こういう時の2度めの標準治療、抗癌剤をやっても、1ヶ月から半年、確かに寿命としては伸びるけれど、生活の質のことを考えた時、抗癌剤治療をパスすることを自分で決定。

 

吐き気、下痢、痺れ、味覚異常。

私も経験したそれらの副作用をまた耐えて半年生き延びるより、副作用なしの日々の充実に賭ける

…と考えたそうだ。

 

もちろん1度めの抗癌剤治療を否定なさっている訳ではない。

 

むしろ自由診療を選ぶのは自由だが、今の医学でベストなものが標準治療として存在しているのでと、そこははっきり書いてある。

 

自分が2回めの抗癌剤治療をうけないのは、効果がないからではなく、生き方の選択の問題なのだと。

 

ふと、私は叔母のことを考えていた。

 

叔母は優秀な看護婦。

看護婦長を長い間勤めた人だった。

 

そういう人ってさ、全部「わかる」じゃない?

 

それって…残酷なことも連れてくるよなあ。

 

そのドクターも叔母も、私とは違った視点で神経を尖らせるのだなあ。

 

そのドクターにはこれからの道が見えている。

それゆえの決断。

 

「生活の質」。

 

そうか、半年を捨てても…

 

その決断は彼自身のことであるから、そこをどうこう言うつもりはない。

そんな資格も権限も私には、ない。

 

ただ、「生活の質」…その言葉が妙に印象に残った。

 

まだ6月だというのに、連日の猛暑。

「こんなに暑いと、野菜の水やりも大変なのよ。」と母がこぼす。

 

「野菜の値段がまた上がるんじゃないかなあ…」と私。

 

今日も外に出なかった。

 

生活の質…かあ。

 

こんなぼんやりした日々、人によっちゃ

「あんたねえ」って呆れるかもなあ。

 

生活の質…。

生かされる意味。

 

今日は友達に教えて貰ったコミックを、

一気読みした。

 

夜になると現れるこいつ。

 


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2日続けて現れた。

 

明日も現れるだろうか。

 

そんなことを考えながら、眠る。

 

眠れない。