長い夜

どうしてこんなに気持ちがへこむんだろう。

 

真っ黒な穴に吸い込まれていくようだ。

 

お気楽極楽、ご陽気主義の私のはずじゃないか。

 

 いずれ人は皆死ぬ。

そう思ってはいても、 やっぱり私は 怖いのだった。

 

 いずれは …そう思っても 、わかっていても、痛かったり 苦しかったりするのは やっぱり嫌だ。

 

あーそうか。

年をとった人たちが 、みな ぴんぴんころりでいきたいと 願うのは、こんな気持ちからか。

 

日常に 、日常の隣に 本当はいつも死はあるけれど、 でも そんなこと 考えて 生活なんかしていない。

 

明日の天気はどうだとか、 晩御飯は何を食べようだとか、 あの人はとても優しかっただとか 、反対に なんでいつも意地悪なんだろうだとか。

 

そんな 些細なことに 振り回されながら 、どっぷり浸かりながら 、日常は回っていく。

 

でも その中で 本当は。

 

今、私は  その隣にあった、潜んでいた 死の背中を 見ているのだなあ。

 

何度も何度も思う。 いずれは。

だけど やっぱり 苦しかったり 痛かったりするのは いやだ。

だだっ子のように、同じところをループする私。

 

眠れないな 。

 

どちらの方法 を選ぶにしても 、私は

「 ひょっとして 逆の方法の方が良かったんじゃないか 」そう思うような気がした。

 

納得して 、本当に心の底から納得して、 選び取るなんて、 日常の中でもめったにない ことじゃないか。

 

あー眠れないなあ。

 

ハワイ部屋の中で 私は どうしていいのか 分からないまま、いっそ できれば誰かに 全てを 任せて 導いてほしいとも思った。

 

そうか 。

こういうところに代替え治療 やある種の宗教…そういうものが 入り込んでくる 隙が 生まれるんだな。

 

ぼんやりと そんなことを考える 。

長い夜。