大量の薬に加えて、また 痺れを止めるための 薬 。
空嘔をおしながら 飲んでいると 、皇太后が心配そうに 大丈夫?と聞いてくる 。
大丈夫だよ~心配しないで。
いつもの会話で 、いつものリビング。
皇太后が
「ねえ 、tonntikiは 大腸癌の手術は済んだんだよね。 乳癌は ?」 と言う。
今まで私は 皇太后に これまでの 経過や 詳しい話を してこなかった。
ざっくりと あと三日後に入院するよ~うとか 、まあ10日もすれば帰ってくるからとか、 そういう感じ。
だって 皇太后は 、つまり私の母は 超高齢でもあるし、 この 現状を 詳しく語ったところで ショックを受けるだけだと思ったんだ。
聞いて楽しい話じゃない。
だから ざっくりざっくり。
だけれど 昨日の夜 夕食の後、 皇太后に 質問されて 私は思った。
知らされないことで 却って 心配を募らせている様子の皇太后。
知ること、知らないこと 。
どちらがいいのか わからない。
けれどもし 万が一 私に 何か急な変化があったら 彼女のショックは 倍になる だろう。
それで これからのことを考えて 、私は話した。
ポリープを取るだけでは治らなかったこと。 手術の後もきつかったこと。
そして今 ステージ3の状態であること。
ネットによれば 5年後の生存率は 60%であること。
その60%に入るためには 、この空嘔、しびれや めまいや だるさを 乗り越えるしかないこと。
皇太后は言った。
「代われるものなら。 」
いいえ。 バカなこと言わないで。
皇太后でなくてよかった。
私で良かったんだよ。
皇太后にこんなきつい思いをさせたくないよ。 私はそう言って笑った。
「迷惑ばかりかける 」
そんなこと言わないで。
本当にそんなこと言わないで 。
私は非婚で 独身者 。
こんなことになって、かわいそうにと 思う人もいるだろうけれど、 私は自分の選択が 間違っていなかったと 本当に思ってるんだよ 。
それは やせ我慢でもなんでもなく 。
だって 私は弱いからさ。
力の加減がわからない。
もし私に家族がいれば 、そりゃあ甘えられる部分も大きいだろうけれど 、でも 逆に 甘える加減がわからなくて 溺れて 却って しんどい思いをするかもしれない 。
いやするだろう。
私は 弱虫だから そんな回り道をするぐらいなら 自分一人に 集中していたい。
家族に想いを残すって、私には重すぎる。
だけどね そんなワガママエゴイストでも 、やっぱり 愛する人が欲しいじゃない 。
愛してるんだ。
愛してるんだよ 。
あなたが元気で いてくれるから、 私に 日常があって 、だから今日もこんな馬鹿なことを書いていられる。
それにね 私は一人じゃない 。
本当に幸いなことに、 こんな厄介な 心持ちのやつでも 支えてくれる 人たちがいる。
だからさ 前を向いてなんて キラキラしたことなんか言えないけれど 。
皇太后 、今日も 一緒にご飯食べよう。