お姫様

「tonchikiさん、病気に触りますから、 重いものは持たないようにしてくださいね 。

特に 右手を使う時は 、気をつけてください。 乳癌があるのは 右ですから。 」

 

ドクターからそう言われて 、気をつけるようにとは思うけれど 、なかなか うまくいかない。

ついつい、荷物は重くなり、右を駆使ししてしまう。

 

買い出しに行きたい …そう思っても、 バスに乗る 体力がなくて 。

退院した直後は 弟夫婦の世話になった。

メモを渡して

「これを買ってきてほしいの 。」

そうして買ってきてもらったもの達 で、毎日の 食事を作った。

 

今回の病気で、弟は 、入院の時 、退院の時、 そして 通院 の時、 車で送り迎えをしてくれた。

 

タクシーで なんとか一人で と今はやっているけれど、 退院直後、 途中で 息が上がりそうになったり、病院に着いたものの 気分が悪くなって へたり込んでしまったり ということもあった から それは大変ありがたい 申し出だった。

 

そうは言っても 弟だって 毎日の仕事がある。 せっかくの休み 、私の ことばかりに かまけているのも しんどいだろう。

そう思うから自分でできることは 自分でと考え、 買い出しは なんとか ネットで できないだろうか とパソコンに 目を凝らす。

 

いつも使っている スーパーマーケット 。

ネットで注文して 配達してくれる制度があるんだ 。 あーよかった。

そう思ったのもつかの間。

私が住む ところの 前の 町内まで しか 配達はしてくれない ということが判明した。

 

なんだよどうして。

そんなに距離は変わらないじゃないか。

がっかり 。

ぼやいていたら 友達が調べてくれた。

ここだったら大丈夫みたいよ。

あ本当だ。

イオンが 配達をしてくれる。

いざとなれば…。

ただ イオンが立っている場所は 、我が家からとても遠い 。

配達してくれても 、ちゃんと対処はしてくれているだろうけれども 、生鮮食品の 鮮度が 気になる。

 

いつも 使うスーパーマーケットが 配達してくれたらなあ…。

考えても仕方がないけれど、少々恨めしい。

 

 弟が来てくれた 。

「買い物行こうか。」

 

ありがとうと言いながら 、いつものスーパーで、私は 自分の目で見て、 自分の 手で 籠の中に入れる …そのことが 嬉しい。

 

「あ俺が持つよ 。」

 

ありがとう。

全く お姫様のように なっている自分を 笑う。