せっかちドクター

「はいそうです。」

 

そう答えながら 、新しいドクターの 様子を観察している。

 

30代後半から 40代というところか。 働き盛り って印象。

ちょっと口調が前のめり。

せっかちさん?

まあ、外来患者は沢山。せっかちにもなるよね。

 

「…そうですか。 貼り薬だけなんですね 。」

 

「ええそうなんです。 」

 

「それで調子はどうですか?」

 

「ええ、おかげさまで 今のところは大丈夫です。」

 

「そうですか。 」

 

薬をやめる… と先生がつぶやく。

 

「検査をして 、心臓の方は 大丈夫という お墨付きを頂いたんですけれど、でも念のためということで、 お薬を出されていたんです。それで 私としては なるべく 薬を飲まないで 貼らないで すむものだったら 、その方がありがたいなと思って。 」

 

「そうですか。… なるほどなるほど 検査もしてもらってるんですね。」

パソコンの画面を見ながら ドクターは頷く。

 

「心臓の薬は 、一度飲むと 辞め時がとても難しいんです。 でもtonchikiさんの場合、 検査の結果も大丈夫だったし 、今心音を聞いても 大丈夫みたいだし。…そうですね。 一度やめてみるのも 一つの考えですね。 」

 

先生 が私の胸を 押す。

 

狭心症というのはこういう感じです。 こんな感じですか?。」

 

「今は大丈夫です。 そもそも こちらの病院に お世話になる前に も 、起きている時は 大丈夫だったんです。 ただ寝ていると 息苦しくなったりして。 それでかかりつけ医の先生に 診て頂いてこちらの 病院を 紹介していただいたというわけなんです。

先生 、実は こちらの病院で 何度かパニック障害 だと いうようなことを 言われたんですけれども 、それが関係していますか ?」

 

「難しいですね。… パニック障害の 診断は、 実際のところ 全ての可能性 を消していって、 そして大丈夫だってなって それから後 のことになるんですね 。

tonchikiさんの場合 、大腸癌と乳癌 を罹患されているわけですから 、その 病気からの 影響 が 0 という風には 今の段階では 判断できにくいです。

この二つの病気が 落ち着いてから 後のことだったら… なんですけどね 。

 

でも、狭心症は、今のところ大丈夫みたいだし。

デパスで落ち着いているのなら、確かに緊張からきている部分も考えられますね。

只、今のところ癌の影響も否定出来ないのでね。

 

とりあえず 貼り薬の方は ちょっと様子を見てみましょう 。でもそれで止めてはみたものの 調子が悪くなっても困りますから、念のため ニトロを出しておきます。 もし調子が悪くなったら ニトロを使ってください。

それで次の乳腺の外来の時、僕の方にも 来て いただこうかな。 その時 心電図をとって 何ともなければ、 ここは卒業ということで 考えておきましょうか。 」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

緊張しながら 受け答えをしていたけれど 、新しいドクターは 納得する 、納得できる 診断を示してくれたのだった。