家に帰って リビングの椅子に座り込んだら 、目の前に 封筒があった。
コロナワクチンの 接種予約券。
ああ届いたのか 。
予約は 一週間先 からとかいてある。
うまく取れるんだろうか。
妙に 緊張した気持ちになった。
副反応だとか いろんな情報がネットにあがっているけれど 、それ以前に 打たなければ 治療が始まらないとか、 命に関わるだとか… そういう人もいるんだなあ。
自分のことだけれど、そうなんだけど。
いつも 世の中の さまざまのことには例外というものがあって、 その例外は 、私の想像も しないところに 存在している。
それから一週間後 、私はパソコンの前で 1時間も前から 緊張して座っていた。
予約を取るのは初めてじゃない。
皇太后の 接種の時の予約で経験済みだ。
なのに緊張している。
うまくとれるんだろうか 。
時間になって 予約サイトから予約を取る。
あ、とれた。
ああよかった。
1回目も2回目も同時に取れた。
あーよかった。 本当に良かった。
私がとったのは 近くの 耳鼻科での接種。
これだったら 一人でも行ける 。
よかったよかった。
そうか。かかりつけ医で ワクチン接種 をしているというのは 本当だったんだな。
念のためと思って 自分の予約を確認する。
二度三度。
うん間違いない 。ちゃんとできてる。
外耳炎になった時 いったその馴染みの耳鼻科 の ホームページを覗く。
予約受付は 直接ではなく 、ちゃんと 県のコロナ予約サイトからお願いいたします …などと書かれている 。
その後に 、「アナフィラキシーショックに対する 対応はできない 。不安がある人、 アレルギーのある人 、そういう人は 集団接種会場へ行ってほしい 。」そう書いてあった 。
せっかく取ったんだもの 。
きっと大丈夫 。
心配することはない。
ここで大丈夫だよ。
そう思いながら 、もし万が一 という気持ちが 拭えない 。
そもそも 私が 癌になったのも 、パニック障害になったの も 、全く予想していたことではなかった。
造影剤アレルギーがあるのは事実だ。
世の中 何がどうして どうなるかなんて 分からない。
…予約、取り直したほうがいいな。
私は予約サイトに立ち返り 、最初にとった 耳鼻科での接種予約をキャンセルした。
集団接種会場 への予約が取れた時、 ほっとするのと同時に、なんだか ぼーっとした気持ちになった。
「tonchiki」
皇太后に声をかけられて、我に返った。
「コロナ、予約とれた。」
「そう、よかったね。」