むずかる友蔵

とにかく、そういう訳で、あれよあれよと再入院が決定した。
帰って、1週間もしないうちに 再入院??

あ~~~~もう、嫌だなあ。
いくら検査入院っていってもさあ~~。 もう入院なんて うんざりさ  。

いやじゃ~~
いやじゃ~~~ と、心の中の友蔵が むずかっている。


ちびまる子ドクターが、

「 あ、tonchikiさん 。 … 大腸検査は、初めて?」

 
「あ、はい。」

「そうですか。・・・いけそう?」

 

いけそう??
それはどういう意味合いの問いかけなんだろう。

「おい、例の彼女、お前いけそうなのかよ?」
いけそうっていう問いかけは、そんな風に使うんじゃないのかな~。
こんな時に使う いい方じゃないんじゃないかなかな~?なんて考えながら、

 

「・・・だ、大丈夫だと・・・思います。」

言いながら、我が脳裏に浮かぶ「塩化タリウム運動負荷シンチ」検査の悪夢。

 

顔に野口さん斜線が入っているのが、自分でも判った。

「じゃあ、薬出しておきましょう。 これ飲んでたら 大丈夫だから。」

 

「・・・まあ、絶食がね、ちょっとしんどいかもしれませんけどね。
検査薬は飲むの大丈夫ですか?・・・あ、初めてで知らないか。

まあ、そんなに緊張して心配することないから。
ちょっと下から突っ込んでおしまいだから。
それにね~~大体、MRI検査とか、な~~んてことなかったでしょ?
私なんて、これ幸いと寝てましたよ。」

ちょっと得意げに話す、ちびまる子ドクター。
先生 、話が 見事に自己完結してますけど。
口を挟む隙がないよ。

私だってねー。 私だってさ。
私だって、今までは、MRIなんてさ、ちょっとガンガンと 煩いだけ。
痛くもへったくれも無いんだから 、平気でしたよ。
全然平気の助だったんだよ~~。

でも、 今は 息があがるんだもん。
足元が 冷たくなって 、 おかしくなるんだもん。
頭が割れるように、痛くなっちゃうんだもん・・。 

どうしてこんな風になっちゃったのかな~~。
あの時の 胸苦しさは  、今は収まっているけれど 、でも どこか 不穏な  種火 のように、 ずーっとくすぶっているような気がする。

 

ってか、繰り返すけど、ちびまる子ドクター、
「突っ込む」って単語は、そんなに連呼しない方が・・・。

 

「じゃ、そういうことで。」

 

「・・・・ありがとうございました。」

 

診察室を出ると、看護師さんが

「tonchikiさん、乳腺の方から連絡が来ていて、
先生からお話があるそうです。」

 

なーーーーんだーーーーよーーーーー!!!

そーーーーんなに私を帰したくないのかよ~~~~!!!

ちょっと、いや、かな~りげんなりしながら
乳腺のご陽気ドクターに会う。

相性はいいはずなんだよな~。
ご陽気ドクターは相変わらず、ニコニコ。
でもわたしゃ、違う場所で出会いたかったよ。

 

「あー、tonchikiさん、この間のマンモの結果なんですけどね。」

 

「あ、はい。」

 

「ちょっと気になる所が出て来たんで、

再検査しますね~。」

 

「は?」

 

「えっと、2日後、来られますか??」

 

いやじゃ。

心の中の友蔵が完全にむずかり始めた。

いやじゃ、いやじゃ、いやじゃ!!

 

「・・・あのー。大腸検査で、再入院って言われているんですけど、
その時、一緒ではいけませんでしょうか。」

 

「あー、ねえ。
でもねえ、再検査の結果を早く聞こうと思うと・・・ん~~~
やっぱり、2日後がベスト・・・かな?」

 

しょうがない。
そうきっぱり言われてしまえば、しょうがないの~。
むずかっていた友蔵は、力なく肩を落とす。

 

結局、患者は受け身で動くしかないのじゃ。
2日後・・・2日後か。
先生が2日後というなら、その日に来るしかあるまいなのじゃ。

 

「じゃ、2日後。
よろしいですか?」

 

「・・・あ、はい。ありがとうございました。」

 

わしは疲れた。
ぐったりして、部屋に戻る。

「tonchikiさ~~ん」

今度は何ッ!!???
思わずキッという目で見てしまった、看護師さん。
ちょっとビクッとして 後ずさり。 ごめんなさい。
彼女に何の罪もないのに。 友蔵反省。

 

「・・・えっと、今日ご退院ですね?
・・・これが退院に関する書類で・・・」

 

あーーーーー
これだよ。
これを待っていたんじゃよ~~~。


「お支払いが御済みになったら、領収書をこちらにもう一度見せて戴いて・・・。

あ、ご家族の方がお迎えに来ていらっしゃいますよ。」

 

「はいッ!!!」


いいお返事の良い子のお顔の私。

これだ~~~。
これを待っていたんだよ~~~う。